「事故を起こしてしまった」「エンジンがかからなくなった」——そんな車を前にして、ディーラーや修理工場から「もう廃車ですね」と言われると、そのまま処分をお願いしたくなります。

ただ、そこで手続きを進める前に確認してほしいことがあります。結論から言うと、事故車や動かない車にも値段が付くことがあり、廃車費用を払うつもりが逆にお金を受け取れるケースもあるからです。順に見ていきましょう。

確認①:値段が付くのは「車としての価値」だけではないから

走れない車になぜ値段が付くのか。理由は、買取の対象が車そのものだけではないためです。

まだ使える部品を取り外して販売するルート、鉄やアルミといった素材として扱うルート、そして日本車の中古部品を求める海外への輸出ルートがあります。国内では「もう乗れない」と判断される状態でも、別の市場では需要が残っていることがあるわけです。

だからこそ、目の前の1社に「価値ゼロ」と言われたことが、そのまま全業者の評価とは限りません。この「1社の提示額を全体の相場と思い込まない」という考え方は、通常の売却でも同じです(下取りと買取はどっちが得?)。

確認②:廃車専門の買取と、通常の買取店を切り分ける

どこに声をかけるべきかは、車の状態でおおまかに分かれます。

  • 走行に支障がなく、修復歴があるだけの車 → 通常の買取店でも査定を受けられることが多い
  • 自走できない・水没や大きな損傷がある車 → 廃車買取や事故車専門の業者が向いている

そもそも自分の車が修復歴ありに当たるのかがはっきりしない場合は、修復歴ありの車は売れない?で判定の基準を確認してください。

判断に迷うときは、両方に声をかけて比べてしまうのが早道です。専門業者はレッカーでの引き取りや、抹消登録などの手続き代行に対応していることが一般的で、動かない車でも自分で運ぶ必要はありません。動かせない車の扱いという点では、車検切れの車の売却と考え方が共通しています。

確認③:処分費用がかかるのか、受け取れるのかを聞き分ける

見積もりを取るときは、金額の符号を必ず確認してください。「引き取り無料」と「買取金額あり」はまったく別の話ですし、逆にレッカー代や手続き費用が差し引かれることもあります。

確認したいのは次の3点です。

  1. 引き取り(レッカー)費用の負担はどちらか
  2. 抹消登録の手続きを代行してくれるか、費用はかかるか
  3. 自動車税や自賠責保険の還付が受け取れるか、業者側の取り分になるか

還付分まで含めると手取りが変わることがあるため、総額で比べるのが基本です。金額の内訳を書面で示してもらいましょう。

注意点①:修復歴は隠さず申告する

査定を有利にしたい気持ちから、事故の履歴をあいまいに伝えたくなるかもしれません。ですが、修復歴はプロが見れば分かるうえ、後から発覚すれば契約解除や減額の対象になり得ます

正直に伝えたほうが、業者側も適切な販路(部品取り・輸出など)を前提に値段を出せるため、結果的に話が早く進みます。契約書の記載内容と、後日の減額に関する条項は必ず目を通してください。

注意点②:修理してから売るかどうかは、慎重に

「直してから売ったほうが高いのでは」と考えがちですが、修理費をかけても、その分がそのまま査定額に上乗せされるとは限りません。特に損傷が大きい場合は、修理費が回収できないことのほうが多くなります。

保険を使うかどうかも含め、修理前の状態で一度査定を取ってから判断するほうが、選択肢を狭めずに済みます(高く売るコツ)。損傷が軽い場合の考え方は車の傷やへこみは査定にどう響く?にまとめてあります。

「廃車ですね」の一言は、その業者にとっての結論であって、市場全体の結論ではありません。

まとめ:処分を決める前に、複数社に状態を伝えて聞く

事故車・不動車でも、部品・素材・輸出という受け皿があるため、値段が付く可能性は残っています。やるべきことは単純で、廃車手続きを進める前に、車の状態を正確に伝えたうえで複数社の見積もりを取ることです。

必要書類は通常の売却と重なる部分が多いので、売却時の必要書類もあわせて準備を進めておくとスムーズです。抹消登録の種類や還付されるお金については車の廃車手続きの流れにまとめました。費用を払って処分するはずだった車が、いくらかの現金に変わることもあります。