車を売ると決めて査定を申し込む段になると、たいてい「ご自宅に伺いましょうか、それともご来店されますか」と聞かれます。どちらでもいいと言われても、初めてなら判断材料がありません。家に来てもらうのは気が引ける、かといって店に行くのは時間がかかる。そもそも金額が変わるのかどうかも分からない、というところではないでしょうか。
先に結論を書きます。査定額そのものは、出張か持ち込みかという方式ではほとんど決まりません。決まるのは車の状態と相場、そして何社と比べたかです。方式の違いが効いてくるのは金額ではなく、商談の場の主導権をどちらが握るか、という部分になります。ここを理解して選べば、どちらを選んでも損はしません。
この記事が合わない人へ(先に確認)#
- 一括査定の電話ラッシュが怖い → 一括査定の電話を最小にする方法
- 当日に何を用意すればいいか知りたい → 車を売るときの必要書類
- 契約後に減額されないか不安 → 契約後の減額(二重査定)への対処
先に相場だけ知りたい方は、電話が1回ですむユーカーパックの無料相場チェック(PR)が使えます。本文を読んでから判断したい方は、そのまま下へ進んでください。
そもそも、なぜ出張査定が主流なのか#
買取店から出張査定を勧められることが多いのには、業者側の事情があります。店舗に来てもらうには読者が時間を作る必要があり、その手間の分だけ話が流れやすくなるからです。
自宅に伺えば、少なくとも査定は確実に行われます。さらに、車があるその場で契約まで進められれば、他社に相見積もりを取られる前に決着させられます。業者にとって出張査定は、成約率を上げるための合理的な手段というわけです。
これは悪い話ではありません。読者の側も移動せずに済み、時間の負担は明らかに軽くなります。ただ「なぜ勧められるのか」を知らずに受けると、あとで書く「その場で決めてほしい」という圧力に不意打ちを食らうことになります。
出張査定が向いている人#
出張査定の利点は、はっきりしています。
- 自宅や職場の駐車場まで来てもらえるので移動時間がゼロ
- 車検切れや不動の状態でも、動かさずに見てもらえる
- 複数社を同じ日時にまとめて呼べば、その場で競争が起きる
とくに三つめが大きい利点です。1社ずつ順番に呼ぶと、後から来た業者が前の金額を聞き出して「わずかに上乗せ」で終わらせることができます。同じ時間帯に複数社を呼ぶと、業者側は他社の顔が見える状態で数字を出すことになるので、最初から本気の金額が出やすくなります。
連絡の集中が心配で複数社に声をかけづらいという場合は、連絡方法の決め方を一括査定の電話ラッシュ対策にまとめてあるので先に読んでおいてください。
持ち込み査定が向いている人#
一方、店舗へ持ち込む方式にも独自の利点があります。
- 自宅の場所や生活の様子を業者に知られずに済む
- 家族に知られないまま話を進めたい事情がある場合に都合がよい
- 帰るという行動で商談を打ち切れるので、長時間の引き止めに遭いにくい
最後の点は見落とされがちですが、実務上は効きます。自宅に来てもらった場合、話を切り上げるには相手に帰ってもらうしかなく、こちらから席を立つことができません。「今日はここまでにします」と言って自分が動ける状態にあるかどうかは、心理的な負担にかなり差を生みます。
押しの強い交渉が苦手だという自覚がある人は、最初の1社だけでも持ち込みにしておくと落ち着いて話を聞けます。
金額に差が出るとしたら、どこで出るか#
方式そのもので査定額が変わらないとしても、結果として差がつく場面はあります。差の正体は主に次の二つです。
ひとつは、比較した社数です。1社だけの提示は、それが高いのか安いのか判断できません。方式に関係なく、比べた数が少ないほど不利になります。ネットの概算から実際の売却額にたどり着くまでの順番は車の買取相場の調べ方で整理しました。
もうひとつは、その場で結論を出したかどうかです。急かされた状態で決めた金額と、いったん持ち帰って他社と並べたあとの金額は、同じ車でも違ってくることがあります。出張査定で差が出やすいと言われるのは方式のせいではなく、その場で決めてしまいやすい環境だからです。
方式を選ぶことより、いつ結論を出すかを自分で決めておくことのほうが、金額への影響は大きくなります。
注意点:その場で契約を迫られたときの考え方#
出張査定でよくあるのが、「この金額は今日限りです」「もう積載車を手配しています」といった形で、その場での決断を促されるパターンです。
相場が動く以上、金額に期限があること自体は不自然ではありません。問題は、期限を理由に比較の機会そのものを奪われてしまうことです。査定を申し込む前に「今日は契約しない」と自分の中で決めておくだけで、この場面はほぼ無力化できます。決めていないから迷い、迷っている時間が長引くほど押し切られやすくなります。
もし勢いで契約書にサインしてしまった場合にどうなるかは、車の買取契約は後からキャンセルできる?で扱っています。訪問販売とは扱いが異なり、クーリングオフがそのまま使えるとは限らない点は知っておいたほうがいい部分です。
注意点:査定の当日に車を渡してしまわない#
もう一つ気をつけたいのが、査定と引き渡しを同じ日にしないことです。契約が成立すると、そのまま車を引き取って帰る段取りになっていることがあります。
車内の私物、ETCカード、駐車場の契約、任意保険の手続きなど、手放す前に片付けておくべきことは意外と多くあります。売却に必要な書類も、当日その場で全部そろうとは限りません。何を用意するかは車を売るときの必要書類にまとめてあります。
出張査定を受けるときは、車検証などの書類一式をあらかじめ手元に出しておかないほうが無難です。書類がそろっていると、その日のうちに契約まで進められる状態だと受け取られ、話が早く進みすぎることがあります。
注意点:自宅に呼ぶ場合の実務的な準備#
出張査定を選ぶ場合、当日の段取りをいくつか決めておくと当日が楽になります。
- 査定してもらう場所(自宅前か、月極駐車場か、職場か)を先に伝えておく
- 複数社を呼ぶなら、時間帯を同じにするか、少しずつずらすかを決めておく
- 所有者本人が立ち会えない場合の扱いを、申込時に確認しておく
とくに三つめは、名義が家族やローン会社になっている場合に効いてきます。誰が契約できるのかが曖昧なまま査定日を迎えると、金額が出ても話が進みません。
まとめ:方式は好みで選び、決める時期だけ先に決める#
出張査定と持ち込み査定は、金額を左右する要素ではありません。移動の手間を省きたいなら出張、商談を自分の判断で切り上げたいなら持ち込み、という好みの問題として選んで構いません。
大事なのは、どちらを選ぶにせよ「今日は決めない」「複数社の数字を並べてから決める」という順番を先に決めておくことです。この一点さえ守れば、自宅で査定を受けても押し切られることはありません。
最初の1社の金額が高いのか安いのかは、他社の提示と並べてみないと分かりません。まずは今の相場を確かめるところから始めてください。