いざ車を売ろうと書類を揃えていたら、車検証入れに入っているはずの点検記録簿(メンテナンスノート)が見当たらない。中古で買ったときから付いていなかった、引っ越しのときにどこかへ行ってしまった——理由はさまざまですが、「記録簿が無いと買い叩かれるのでは」と不安になる人は多いはずです。
先に結論を書きます。記録簿が無いこと自体で、売れなくなることはありません。ただし、整備の履歴を裏付ける材料が減るぶん、査定で慎重に見られやすくなるのは事実です。紛失していても、整備を受けた店に履歴が残っていれば取り寄せられることがあるので、あきらめる前に確認してみる価値はあります。
仕組み①:記録簿は「状態の証拠」として見られている#
査定をする側は、車を短い時間で見て値段を付けなければなりません。外装や内装は目で見れば分かりますが、エンジンオイルをどのくらいの間隔で替えてきたか、消耗部品を交換済みかといった「これまでの扱われ方」は、見ただけでは分かりません。
そこで頼りにされるのが記録簿です。定期点検や車検のたびに、実施日・走行距離・交換した部品などが書き込まれていくので、過去の整備履歴を第三者が確認できる数少ない資料になります。記録がそろっている車は、業者が状態を推測で差し引く余地が小さくなる、というのが評価される理由です。
仕組み②:走行距離の裏付けにもなる#
記録簿には、点検のたびの走行距離が残ります。時系列で数字が自然に増えていれば、メーターの表示が実際の走行と合っていることの裏付けになります。
中古車の流通では、走行距離の信頼性が重視されます。記録簿が無くても別の手段で確認されることはありますが、手元の資料で説明できるかどうかで、査定する側の安心感は変わるものです。距離が多めの車ほど、この差は意味を持ちます(10万km超えの車は売れる?)。逆に距離が少ない車でも、その少なさを裏付ける材料として記録簿が役に立ちます(走行距離が少ない車は高く売れる?)。
仕組み③:影響の大きさは車によって違う#
記録簿の有無がどれくらい効くかは一律ではありません。年式が新しく距離も少ない車なら、そもそも整備の履歴で差が付きにくく、影響は限定的なことがあります。
反対に、年式が古い車、距離が伸びている車、輸入車などは、整備の積み重ねが状態を大きく左右するため、記録の有無が評価に反映されやすい傾向があります。輸入車で整備記録が重視される理由は輸入車のリセールが低いと言われる理由でも触れています。どの程度差が付くかは業者の判断によるので、「いくら下がる」と決めつけずに、比較の中で確かめるのが現実的です。
注意点①:紛失したら、まず整備を受けた店に聞く#
記録簿の冊子そのものを作り直すのは難しいことが多いですが、点検や車検を受けた店の側に、作業の履歴が残っていることがあります。新車から同じディーラーで点検を受けてきたなら、店舗に問い合わせると整備履歴を印刷してもらえる場合があります。
- 新車で買ったディーラー、定期点検を受けていたディーラー
- 車検を依頼していた整備工場やカー用品店
- オイル交換をしていたガソリンスタンドなど
どこまで遡れるか、発行してもらえるかは店ごとに対応が違います。保存期間の関係で古い分は残っていないこともあるので、問い合わせの際に確認してください。車検証の記載事項(車台番号など)を手元に用意しておくと話が早く進みます。
注意点②:無いものは「無い」と正直に伝える#
査定の場で記録簿が無いことを隠したり、整備をしたかどうかをあいまいにしたりするのは避けましょう。整備の実態と説明が食い違うと、かえって信用を落とします。
「記録簿は紛失したが、車検はこの店で受けていた」「オイル交換はこのくらいの頻度でしていた」といった覚えている範囲の事実を、そのまま伝えるだけで十分です。領収書や明細が残っていれば、それも記録の代わりとして見せられます。査定額が提示されたあとに不具合が見つかると、契約後の減額トラブルにつながることもあるので、分かっていることは先に申告しておくほうが安全です(車を高く売るコツ)。
注意点③:記録簿のためだけに整備を入れる必要はない#
「記録を作るために、売る前に点検を受けたほうがいいのでは」と考える人もいますが、売却直前にかけた整備費用が、そのまま査定額に上乗せされるとは限りません。もともと点検の時期が来ているなら受けておけばよい、という程度に考えておくのが無難です。
それより、スペアキー・取扱説明書・外した純正部品といった付属品がそろっているかを確認するほうが、費用をかけずにできる準備です。スペアキーが見当たらない場合の判断はスペアキーが無いと査定は下がる?にまとめています。引き渡しのときは記録簿(見つかった場合)も車に付けて渡すものなので、車内の片付けとあわせて確認しておきましょう(車を売る前にカーナビの個人情報は消すべき?)。
まとめ:取り寄せられるものは取り寄せ、あとは比較で確かめる#
点検記録簿は、整備の履歴と走行距離を裏付ける資料として査定で見られます。無くても車は売れますが、年式が古い車や距離の多い車ほど、評価に差が付きやすくなります。
紛失していたら、まずは点検や車検を受けていた店に履歴が残っていないか問い合わせること。それでも見つからなければ、覚えている整備の事実を正直に伝えれば十分です。記録簿の有無をどう評価するかは業者によって違うので、1社の提示額だけで判断せず、同じ条件を伝えて複数の窓口で比べることが、損を避けるいちばん確実な方法です。