「雪の多い地域で何年も乗ってきたから、車の下がサビだらけかもしれない」「売る前に防錆塗装をしておけば、少しは高く売れるのだろうか」——融雪剤がまかれる道路や海沿いを走ってきた車ほど、下回りの状態は気になるところです。ふだん目にしない場所だけに、査定で何を言われるのか想像しにくい部分でもあります。
先に結論を書きます。表面にうっすら出た程度のサビは、年式相応として大きく減点されないことが多い一方で、穴あきや腐食が進んだサビは評価に響きます。売る直前に防錆塗装やサビ取りにお金をかけるより、下回りを洗って今の状態を正しく見せ、複数の業者の評価を比べるほうが損をしにくくなります。
査定で見られるのは「サビの深さ」と「場所」#
買取業者が下回りを確認するのは、次の買い手に売る前にどこまで手を入れる必要があるか、そもそも国内で売れる状態かを判断するためです。サビそのものより、どこまで進んでいるかが問われます。
おおまかには、次のように分かれます。
- 表面のサビ:マフラーやサスペンションの金属部品に出る茶色い浮きサビ。どの車にもある程度出るもので、年式相応とみなされやすい
- 進行したサビ:塗装の下からふくらむサビ、層になって剥がれるサビ。補修の手間がかかるため、評価に表れやすい
- 穴あき・腐食:フレームやフロアパネル、サイドシルなど車体の骨格部分に穴があいている状態。安全性に関わるため、評価が大きく下がることがある
場所も重要です。マフラーのように消耗品として交換される部品のサビと、車体の骨格に出たサビとでは重みが違います。骨格部分の腐食は、事故による損傷と同じように車の価値を左右することがあります。
査定士が見ているのは「サビがあるか」ではなく「どこまで進んでいるか」。
雪国・海沿いの車にサビが出やすい理由#
下回りのサビの大きな原因は、塩分です。冬の道路にまかれる融雪剤(塩化カルシウムなど)や、海沿いの潮風に含まれる塩分が下回りに付着し、水分と合わさって金属の腐食を進めます。
雪道や悪路を走る機会が多い車種では、査定でも下回りが入念に見られる傾向があります。ジムニーやデリカD:5のように悪路走行のイメージが強い車種は、とくにそうです。人気車種でも、下回りの状態しだいで同じ年式の中で差がつく部分です。
一方で、雪国の車がすべて大きく減点されるわけではありません。冬のあとに下回りを洗ってきた車と、塩分を付けたまま何年も過ごした車とでは、同じ地域・同じ年式でも状態に差が出ます。
売る前の防錆塗装・サビ取りは割に合いにくい#
「売る前に防錆塗装をすれば見栄えが良くなるのでは」と考える人もいます。ただ、かけた費用以上に査定額が上がるケースは多くありません。
理由は2つあります。1つめは、防錆塗装でサビを覆っても、その下でどこまで腐食が進んでいるかは査定士が確認するということです。塗装で隠れたぶん、かえって慎重に見られることもあります。2つめは、業者は仕入れたあとに自社や提携先で必要な整備をする前提で金額を考えていることです。あなたが専門店に払う金額と、業者が見込む価値は一致しません。
防錆塗装は、これから長く乗る車を守るための手入れです。手放す直前の車にかける費用としては、効果が残る期間が短すぎます。ボディコーティングを売る直前に施工しても割に合いにくいのと同じ構造です(ボディコーティングは査定でプラスになる?)。
売る前にやる価値があるのは下回りの洗浄#
売却前にやる価値があるのは、もっと手前の準備です。
- 冬を越したあとなら、下回りに付いた融雪剤や泥を水で洗い流しておく
- 洗車機の下回り洗浄コースや、ホースに付ける下回り用のノズルを使う
- タイヤハウスの内側にたまった泥も落としておく
塩分を落としておけば、査定までのあいだにサビが進むのを少しでも抑えられます。泥が付いたままだと、査定士がサビの程度を正確に判断できず、悪いほうに見積もられることもあります。目的は見栄えを良くすることではなく、状態を正しく見せることです。
車内やボディの洗車と合わせて、消耗品の範囲で済ませれば十分です(車を少しでも高く売るコツ)。
注意点①:高圧洗浄は近づけすぎない#
下回りを洗うときに、高圧洗浄機のノズルを部品に近づけすぎると、ゴム製のブーツや配線、すでに浮いている塗装を傷めることがあります。サビが進んでいる箇所に強い水圧を当てると、剥がれかけた部分が落ちて見た目が悪くなることもあります。
ジャッキで車体を持ち上げて車の下にもぐる作業は、慣れていない人には危険です。洗車機の下回り洗浄コースや、地面に置いて使うタイプのノズルなど、車の下に入らずに済む方法を選んでください。
注意点②:サビや腐食は隠さず伝える#
下回りは、査定士がリフトやライトを使って確認することが多い場所です。気づいているサビや、過去に下回りを補修した経緯は先に伝えておきましょう。
申告と実際の状態が違った場合に、契約後の金額見直しにつながる条項が入っている買取契約もあります(買取契約後に減額されることはある?)。どのような場合に見直しがあるのかは、契約書で事前に確認しておくと安心です。
注意点③:評価の重さは販売ルートで変わる#
下回りのサビをどこまで重く見るかは、業者によって差が出ることがあります。国内で小売りする業者はサビの少ない個体を求めやすい一方、海外への輸出や部品取りの販路を持つ業者は、サビがある車でも一定の値段をつけることがあります。
サビが進んでいて「値段がつかない」と言われた場合でも、1社の判断だけで決めないほうが無難です。穴あきなどで走行に不安がある状態なら、廃車買取という選択肢も含めて比べてみてください。
まとめ:サビは隠さず、洗って見せて、比べる#
下回りのサビは、表面の浮きサビ程度なら年式相応とみなされやすく、骨格部分の腐食まで進むと評価に響きます。査定士が見ているのは、サビの有無ではなく深さと場所です。
やるべきことは3つです。売る直前の防錆塗装やサビ取りにお金をかけず、下回りの洗浄で今の状態を正しく見せる。気づいているサビや補修の経緯は隠さず伝える。そして、販売ルートによって評価が変わることを踏まえ、複数の買取店の金額を並べてから判断しましょう。