「新車のときに高いガラスコーティングをしたのに、査定では何も言われなかった」「売る前にコーティングをかけ直したら、少しは高く売れるのだろうか」——ボディコーティングは施工費がそれなりにかかるぶん、売却時にどう評価されるのかが気になる部分です。
先に結論を書きます。ボディコーティングの施工費は、査定額にそのまま上乗せされることはほとんどありません。ただし、コーティングで守られてきた塗装の状態は評価に表れます。売る直前に新しく施工するより、洗車と簡易的なケアで今の状態をきれいに見せるほうが、費用に対して損をしにくくなります。
査定は「施工したか」ではなく「塗装の状態」を見る#
買取業者が査定で確認するのは、次の買い手に売る前にどこまで手を入れる必要があるかです。外装でいえば、塗装の艶、色あせ、傷、水垢やシミの有無が見られます。
コーティングは、この塗装を守るための「手段」です。査定士の目に入るのは手段ではなく結果、つまり塗装がどれだけきれいに保たれているかです。そのため、施工証明書があっても、塗装の状態が同じなら評価はほとんど変わらないことが多くなります。
逆にいえば、何年もコーティングを維持してきた車は、艶や色あせの少なさとして評価に表れる可能性があります。濃色車や、色あせが出やすい色ほど差がつきやすい部分です(車の色はリセールに影響する?)。
コーティングの価値は、施工した事実ではなく、守られてきた塗装に表れる。
施工費がそのまま上乗せされにくい理由#
数万円から十数万円かけたコーティングが評価されないと、損をした気分になるかもしれません。ただ、これには買取業者側の事情があります。
1つめは、コーティングの効果が外から確かめにくいことです。施工からの年数やメンテナンスの頻度によって残り具合は変わり、見た目だけでは判断できません。次の買い手に「コーティング済み」として売れる保証がないため、価格に反映しにくくなります。
2つめは、業者が販売前に自社で仕上げを行う体制を持っていることです。仕入れた車は磨きや洗車を経て店頭に並ぶことが多く、その工程でコーティング層も含めて手が入る場合があります。あなたが店に払った金額と、業者が見込む価値は一致しません。
この構造は、ヘッドライトの交換や業者施工にお金をかけても取り戻せるとは限らない、という話と同じです(ヘッドライトの黄ばみは査定に響く?)。
プラスに働きやすいケース#
施工費は上乗せされにくいものの、コーティングをしてきたことが無駄になるわけではありません。評価につながりやすいのは次のような場合です。
- 新車時から定期的にメンテナンスを受けていて、塗装の艶がはっきり残っている
- 屋外駐車でも色あせや水シミが少なく、同年式の車と比べて外装がきれい
- 施工証明書やメンテナンスの記録が残っていて、手入れの履歴を説明できる
特に最後の点は、査定士との会話で「大事に乗られてきた個体」という印象を補強する材料になります。点検記録簿と同じく、書類は捨てずにまとめて渡せるようにしておきましょう。
売る前に新しく施工するのは割に合いにくい#
「売る前にコーティングすれば見栄えが良くなるのでは」という考え方もあります。たしかに施工直後は艶が出ますが、かけた費用以上に査定額が上がるケースは多くありません。
本格的なコーティングは、施工前に磨きで塗装表面を整える工程が入ることが多く、費用がかさみやすくなります。一方で査定の外装評価は、傷やへこみ、色あせといった「直すのにいくらかかるか」の部分が中心です。艶が増したことで減点が消えるわけではありません。
売却前にやる価値があるのは、もっと手前の準備です。
- 洗車で砂ぼこりや鳥のフン、虫の跡を落としておく
- 水垢や雨じみが目立つなら、市販のクリーナーで軽く落とす(落とす範囲の線引きは車の水垢・ウロコは査定に響く?で整理しています)
- 気になるなら、スプレー式など手軽な簡易コーティングで艶を整える
いずれも消耗品の範囲で済み、「手入れされた個体」という第一印象をつくるには十分です(車を少しでも高く売るコツ)。ホイールの汚れを落としておくのも同じ考え方です(ホイールのガリ傷は査定に響く?)。雪国で乗ってきた車なら、下回りの融雪剤を洗い流しておくのも同じです(下回りのサビは査定に響く?)。ガラスやボディに貼ったステッカーを、糊を残さず剥がしておくのもこの範囲に入ります(車のステッカーは売る前に剥がすべき?)。
注意点①:磨きすぎ・研磨剤の使いすぎに気をつける#
水垢や小傷を消そうとして、研磨剤入りのコンパウンドで強く磨くと、塗装の表面を削りすぎてしまうことがあります。磨きムラが残ると、かえって目立つ仕上がりになりかねません。
また、すでにコーティングを施工している車に強い研磨剤を使うと、残っていたコーティング層まで落とすことがあります。施工店のメンテナンス用品や、説明書で「コーティング車対応」とされている製品を使うと無難です。小傷をタッチペンで埋めてから磨こうとするのも、同じ失敗につながりやすい作業です(車の小傷はタッチペンで直して売るべき?)。
注意点②:塗装の傷みや補修歴は隠さず伝える#
コーティングや艶出し剤で一時的にきれいに見せても、査定士は光の当て方や角度で塗装の状態を確認します。色あせ、クリア層の剥がれ、再塗装の跡などは、表面を整えても分かることがほとんどです。
自分で気づいている塗装の傷みや、板金・塗装の修理歴は先に伝えておきましょう。申告と実際の状態が違った場合に、契約後の金額見直しにつながる条項が入っている買取契約もあるため、契約書の内容は事前に確認しておくと安心です。
まとめ:施工費ではなく、きれいな状態を見せる#
ボディコーティングは、施工したこと自体が査定額に上乗せされるものではありません。評価されるのは、その結果として守られてきた塗装の状態です。
やるべきことは3つです。これまでのコーティングの施工証明書やメンテナンス記録は、査定時に見せられるようにしておく。売る直前の新規施工にお金をかけるより、洗車と簡易的なケアで今の状態をきれいに見せる。塗装の傷みや修理歴は隠さず伝える。
外装の評価の重さは、業者の販売ルートや得意な車種によって変わることがあります。1社の評価だけで決めず、複数の買取店の金額を並べてから判断しましょう。